高齢化社会が進む現在、親の介護は重要な問題となっています。
ただ、さまざまな事情から、親の介護ができない場合もありますよね?
「したくないから。」
「したいけどできない。」
それぞれ家庭内における問題に頭を悩まされている方、多いのではないでしょうか?
私自身、祖母の介護に携わった経験から、簡単なことではないこと、心から感じております。
そこで今回は、親の介護をしないという選択肢を考えられている方に向け
- 法律的には義務なのかどうか
- 放棄方法
- しない場合に起こる問題
- しないにしてもやっておきたいこと
などを解説したいと思います。
ただ、したくないから知らんぷりとする前に、今一度しない場合はどうするのかについても考えるきっかけになれば幸いです。
親の介護は子供の義務?法律的には?
民法877条によると
「直系血族(祖父母・父母・子・孫など)および兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」
という記載があります1)。
また、この直系血族において、特別な事情で介護できないと家庭裁判所が認めた時には、三親等間の親族にも扶養の義務を負わせることができるというものも。
民法第752条によると、
「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」
というものがあります2)。
つまり、子供は親の介護をする義務があります。
また、子供だけでなく、孫である場合、兄弟姉妹や夫婦間においても介護の義務はあるのです。
親の介護を放棄する方法はある?
先ほどお話ししましたように、親の介護を放棄することを家庭裁判所に認めてもらうため、扶養請求調停または審判を求める必要があります。
調停手続を利用する場合には、扶養請求調停事件として申立てをすることになります3)。
その申し立て人は、扶養権利者や扶養義務者(上記で説明した扶養する義務がある人)です。
必要な書類
- 申立書及びその写し1通
- 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 相手方の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 扶養義務者が他の扶養義務者を相手方とする場合・扶養権利者の戸籍謄本(全部事項証明書)
裁判所側の判断
裁判所側が当事者双方(介護する側、される側)から事情を聴き、経済状況・生活状況・意向を提出された資料や話しを元に裁判所側は事情を把握します。
そして、解決案の提示や解決への助言をし、まずは合意(介護する側・される側が納得の上での放棄か)を目指し話合いが進められます。
そうですね。
ただし、これは放棄したい子供側の理由(金銭的理由・精神的理由・仕事等の時間的理由など)を裁判所側が考慮した上でとなります。
ただし、介護を放棄してしまえば子供的には解放されるかもしれませんが、残された親には問題が残ります。
次に、その親に起こりうる問題についても解説していきます。
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子供が親の介護をしないとどうなる?
親が一人では生活できないとわかっているにもかかわらず放棄してしまった場合、誰が介護の必要な親を見るのかという問題です。
法律的に保護責任者遺棄罪を免れたとしても(免れなかった場合、刑法第218条により懲役3ヶ月以上5年以下の刑事罰4))残された親は
- 痴呆が進むのに誰もみてくれない
- 危険を理解できない
- 善悪の判断がつかなくなる
- 動けなくなる
などの問題が生じ、一人での生活が難しくなり、最悪
- 事件(痴呆が故に火事や窃盗)を起こしてしまう
- 行方不明になってしまう
- 餓死してしまう
など、さまざまな問題が起きてしまうことも考えられます。
介護はしなくても、残された親のことも心配という方、多いのではないでしょうか・・・。
親の介護を放棄しても、親のためにやっておきたいこと
子供が介護をしなくても、親のために最低限、以下のような方法を取っておくことも手として考えられます。
- 行政・地域の相談窓口に相談しておく
- 介護申請をし、受けられる限りの支援を受ける(訪問看護・施設入所など)
- 生活保護申請をする
介護する子供側としても、自分の生活が厳しいのにも関わらず、親の介護費用までをということは法も求めてはいません。
ある理由で子供が親の介護をできないとしても、一人では暮らす能力のなくなった親が最低限困らないために、最善策を考えておくことも大事でしょう。
ちなみに、私の身内に社会福祉協議会で働く者がおりますが、身寄りのない老人のために介護申請を代行したり、福祉施設への入所手伝い等をしていると耳にしております。
しかし現実問題、職員も人数が十分に足りているわけではないので、すべてを任せて問題がないのか?
というと、これは本当に困っている方に限ります。
ただ、相談できる機関は各都道府県に設けられているので、一度そういった地域の相談窓口に問い合わせてみることがオススメです。
参考サイト:
1)憲法第877条
2)憲法752条
3)裁判所 扶養請求調停
4)刑法第218条
最後に
ポイントをまとめます。
- 法律的には、子供だからというだけでなく、孫である場合、兄弟姉妹や夫婦間においても介護の義務はある
- 親が一人では生活できないとわかっているにもかかわらず放棄してしまった場合、法律的に保護責任者遺棄罪となることもある
- 介護する者がいない場合、残された親が事件を起こしたり、行方不明になったり、餓死してしまう可能性もある
- 介護しないにしても、行政・地域の相談窓口や社会福祉協議会に頼ったり、介護申請をし、受けられる限りの支援を受ける・生活保護に頼るなどの方法も考えられる
介護はなかなか難しい問題です。
自分達の生活もあるのに介護まで、となると金銭的、肉体的にも大きな負担がかかってきます。
介護したくない・したくてもできない理由には、それぞれの家庭ごとに色々なケースがあるでしょう。
ただ、したくないというだけで介護の手助けがいる親を放置してしまうのは、保護責任者遺棄という問題にもつながりますので、そうなってしまう前に一度相談してみるのがよいでしょう。
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