「瀬戸内工業地域って、地図のどこ?」「テストで特色を聞かれたら何と書けばいい?」と迷っていませんか。瀬戸内工業地域は、瀬戸内海にめんした岡山県・広島県・山口県・愛媛県などの海ぞいに広がる工業地域です。場所・特色・新しい動きの3つに分けると、白地図でも覚えやすくなります。
- 瀬戸内工業地域は瀬戸内海の海ぞいに広がり、倉敷・福山・呉・周南などが中心
- 鉄鋼と石油化学(コンビナート)がさかんで、素材をつくる工業の割合が大きい
- 塩田のあと地や埋め立て地が使えたこと、船で原料の輸入や製品の輸出ができたことが発展の理由
- 近年は医薬品・炭素繊維・蓄電池など、新しい製品づくりも進んでいる
瀬戸内工業地域はどこ?地図で見る場所
瀬戸内工業地域は、中国地方と四国地方にはさまれた瀬戸内海の沿岸に広がっています。教材によっては「瀬戸内工業地帯」と書かれることもありますが、学習プリントや地図では「瀬戸内工業地域」と書かれているものが多いので、テストでは問題文の書き方にそろえましょう。
白地図で探すときは、次の順番だと迷いません。
- 中国地方と四国地方のあいだにある瀬戸内海を見つける
- 海に面した岡山県・広島県・山口県の海ぞいを、西にむかって目でたどる
- 愛媛県など四国側の海ぞいにも工業の都市があることを確かめる
主な都市と工業
| 都市・地区 | おさえておきたいこと |
|---|---|
| 倉敷市(岡山県) | 大規模な鉄鋼工場と、石油化学コンビナートがある |
| 福山市(広島県) | 大規模な鉄鋼工場がある |
| 呉市(広島県) | 大規模な鉄鋼工場がある |
| 周南市(山口県) | 石油化学コンビナートがある |
| 岩国・大竹地区 | 石油化学コンビナートがある |
この表は、大阪府教育庁の中学社会の補充プリントの解答・解説(倉敷・福山・呉に大規模な鉄鋼工場、倉敷・周南に石油化学コンビナート、岩国・大竹・周南にコンビナート)にもとづいてまとめています。
瀬戸内工業地域の特色
特色1 鉄鋼・化学など「素材」をつくる工業が中心
大阪府教育庁の補充プリントでは、瀬戸内工業地域は鉄鋼工場や石油化学コンビナートがあるため、鉄鋼・化学製品といった素材製品が工業出荷額で大きな割合をしめていると説明されています。コンビナートでは、石油を精製するときに出るナフサをもとに、さまざまな石油製品がつくられます。
帝国書院の学習プリントでは、この地域の主な工業製品として石油化学製品・鉄鋼・自動車・船舶などがあげられています。
特色2 工業が発達した理由は「海」と「土地」
帝国書院の学習プリント「瀬戸内海の海運と工業の発展」には、発達の理由が次のようにまとめられています。
- 広い土地が使えた: 塩田のあと地や、遠浅の海岸を埋め立てた広い土地を工業用地にできた
- 原料を運びやすい: 海に面しているので、原油や鉄鉱石を海外から輸入しやすい
- 製品を運びやすい: 大きくて重い工業製品を、船で海外へ輸出しやすい
「自然条件(遠浅の海岸・塩田のあと地)」と「輸送(船)」の2つをセットで書けると、記述問題でも点を取りやすくなります。
特色3 データで見る山口県の工業
瀬戸内工業地域全体の出荷額の数字は、使う統計や地域の範囲で変わります。ここでは、瀬戸内海に面する山口県の資料から、工業の中身を見てみましょう。山口県だけの数字であり、工業地域全体の数字ではない点に注意してください。
| 業種(山口県) | 製造品出荷額にしめる割合 |
|---|---|
| 化学工業 | 29.8% |
| 輸送用機械器具 | 19.1% |
| 石油製品・石炭製品 | 14.6% |
| 鉄鋼業 | 10.1% |
出典: 山口県の資料(2024年経済構造実態調査 製造業事業所調査、総務省・経済産業省)にもとづく令和5年(2023年)の構成比。山口県の製造品出荷額の合計は7兆7,818億円です。化学・石油・鉄鋼といった素材の工業が大きな割合をしめていることが読み取れます。
新しい製品づくりへの取り組み
帝国書院の学習プリントでは、この地域で新しい工業製品の開発や生産が進んでいる例として、次のものがあげられています。
| 場所 | 新しい取り組み |
|---|---|
| 山口県宇部市・愛媛県新居浜市 | 医薬品や医療器具の開発 |
| 愛媛県松前町 | 炭素繊維の生産 |
| 広島県竹原市 | 電気自動車用の蓄電池の生産 |
同じプリントでは、日本の企業が海外に進出し、アジア各地で石油化学コンビナートの建設が進んだため、国内の石油化学製品の需要が減ってきたことが背景として説明されています。工場が海外に移ることで国内の産業が変わる問題は、産業の空洞化とは?中学生向けに意味・原因・影響をわかりやすく解説の記事でもくわしく説明しています。
ほかの工業地帯とくらべてみよう
工業地帯・地域は、どんな工業の割合が高いかで特色が分かれます。
| 工業地帯・地域 | 特色(今回確認できた範囲) | くわしく |
|---|---|---|
| 瀬戸内工業地域 | 鉄鋼・石油化学などの素材製品の割合が大きい | この記事 |
| 阪神工業地帯 | 臨海部は金属・化学の割合が高く、内陸には中小工場が多い | 阪神工業地帯の記事 |
| 中京工業地帯 | 愛知県を中心に、自動車などの輸送機械がさかん(愛知県の2023年の製造品出荷額等は58兆218億円で、輸送機械が56.7%。出典: 愛知県「ポケット情報あいち」) | 教科書のグラフで確認 |
白地図に書きこむ練習のしかた
白地図では、まず瀬戸内海を青でぬり、その海ぞいを赤でなぞって「瀬戸内工業地域」と書きこみます。次に、倉敷・福山・呉・周南の位置に点を打ち、「鉄鋼」「石油化学」のどちらがさかんかをひとことそえましょう。場所と特色をセットで書くと、地図問題にも記述問題にも対応しやすくなります。
テストに出やすいポイントまとめ
| 聞かれ方 | 答えの例 |
|---|---|
| 場所は? | 瀬戸内海の沿岸(岡山・広島・山口・愛媛など) |
| さかんな工業は? | 鉄鋼、石油化学(コンビナート) |
| 工業が発達した理由は? | 塩田のあと地や埋め立て地が使えた/船で原料の輸入・製品の輸出がしやすい |
| 新しい動きは? | 医薬品・医療器具、炭素繊維、電気自動車用の蓄電池など |
| 石油化学製品の需要が減った背景は? | 日本企業の海外進出で、アジア各地にコンビナートができたため |
よくある疑問(Q&A)
Q. 瀬戸内工業地域と瀬戸内工業地帯はちがうの?
A. 教材によって書き方がちがうことがあります。学習プリントや地図では「瀬戸内工業地域」と書かれているものが多いので、問題文や教科書の書き方にそろえて答えましょう。
Q. なぜ海ぞいに工場が多いの?
A. 原油や鉄鉱石を船で運びこみ、できた製品を船で運び出せるからです。広い工業用地を、塩田のあと地や埋め立て地でまかなえたことも理由にあげられています。
Q. 統計の数字は覚えたほうがいい?
A. 出荷額の数字は年によって変わります。まず「どの工業の割合が高いか」という特色を覚え、数字は教科書のグラフで確認しましょう。