中学受験でも重要なポイントとして、おさえておきたい日本の「四大公害病」について学びます。

  • 何があるのか?
  • 場所
  • 原因
  • 症状
  • いつ

などについて、わかりやすく解説します。

途中問題もありますので、解きながらしっかり理解を深めましょう。

日本の四大公害病とは?

そもそも、公害病とは何なのかというと・・・

公害とは、

  • 大気汚染
  • 水質汚濁
  • 土壌汚染
  • 騒音

など、それらにより人々の生活や健康がそこなわれることです。

そして、人間の産業活動によってはい出された有害物質により引き起こされる健康被害を、公害病といいます。

そんな公害病は、公害事件として、1950年代後半〜1970年代にかけ、日本各地で多発しました。

その中でも、日本の四大公害病といわれるのが

  • 水俣病
  • イタイイタイ病
  • 四日市ぜんそく
  • 第二水俣病

です。

それぞれについて、説明していきます。

水俣病とは?

  • 場所→熊本県の水俣市
  • 原因→工場から出た排水の中に含まれるメチル水銀(有機水銀)による水質汚染で、魚を食べた人々に起こった
  • 症状→脳神経をおかされ、言語障害・歩行障害・命を落とす病気などの発生

被害者(ひがいしゃ)は、国や県、会社を相手どり、裁判を起こしました。
熊本県の水俣市で起こった、脳神経系をおかす病気なんですね。
いつからいつまでつづいたんですか?
発生した時期・認定された時期・終息したとされた時期は、以下の通りです。
  • 1950年代:原因がわからない病気として発生
  • 1958年(昭和33年)頃:「水俣病」の名称が使われ始めた
  • 1968年(昭和43年)9月26日:原因がわかり、厚生省は、水俣病の原因物質をチッソ水俣工場の廃液に含まれたメチル水銀化合物であると認定した
  • 1997年(平成9年)7月29日:熊本県知事が水俣湾の安全宣言を行い、その年の10月から漁が再開された

熊本で水俣病が発生した原因は何ですか?

  • アスベスト
  • 二酸化硫黄
  • メチル水銀

正解!

不正解...

正解はメチル水銀です。

メチル水銀(有機水銀)による水質汚染により、川や海の魚や貝を食べた人々に症状が出ました。

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イタイイタイ病

  • 場所→岐阜県の神岡鉱山から出された排水が、富山県に流れて
  • 原因→鉱山から出された排水の中には、有毒なカドミウムが含まれていて、それが神通川によって富山県に運ばれ、汚染された米を食べた流域の住民に症状が出た
  • 症状→骨が折れやすくなる・骨の変形・命を落とす人々も
  • いつから→大正(1912~1926年)時代ごろから発生

はげしい痛みが出たことから、「イタイイタイ病」という名前がついたといわれています。
この病気も、裁判になりました。

35歳以上の子どもを産んだことのある女の人に多く、カドミウムが人体に入ると、じん臓の働きが悪くなり、強い骨が作られなくなることで起こったといわれています。

イタイイタイ病は、何川流域で発生しましたか?

  • 神通川
  • 利根川
  • 黒部川

正解!

不正解...

正解は神通川です。

鉱山から排出された、有毒なカドミウムが、神通川によって富山県に運ばれました。

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四日市ぜんそく

  • 場所→三重県の四日市
  • 原因→工場のけむりにふくまれる、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)による
  • 症状→工場の近くに住む人を中心に、重いぜんそく症状が起こった
  • いつから→1950年代末から1970年代にかけて問題化した

工場って、何の工場だったんですか?
石油化学コンビナート(石油化学工場)です。

三重県四日市では、臨海部(港を埋め立てた広い土地)に、石油化学コンビナートという大きな工場が集まった施設(しせつ)が建てられました。

しかし、工場の運転がはじまり、間もなくして近くに住む住民に、重いぜんそく症状(しょうじょう)が出だしたんです。

四日市で起こり、重いぜんそくが出たので四日市ぜんそくって、覚えやすいですね。

原因がわかった後も、工場の拡大がつづいたため、被害(ひがい)は広がりました。

とくにひどかった地域の被害者が6つの工場を相手に裁判(さいばん)を起こし、5年後に被害者側が勝ち、工場だけでなく国や市にも住民の健康を守るための努力が求められるようになり、公害を問題視してとりしまるようになったんです。

四日市ぜんそくは、臨海部にある「どこ」から出されたけむりにふくまれる二酸化硫黄が原因となって発生しましたか?

  • 製鉄所
  • 石油化学コンビナート
  • 自動車工場

正解!

不正解...

正解は石油化学コンビナートです。

石油化学コンビナート(石油化学工場)から出たけむりにふくまれる、二酸化硫黄が原因となって発生しました。

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第二水俣病

  • 場所→新潟県の阿賀野川流域
  • 原因→工場(昭和電工鹿瀬工場)排水に含まれていた、メチル水銀
  • 症状→脳神経をおかされ、言語障害・歩行障害・運動失調・命を落とす病気などの発生
  • いつから→熊本の源病から9年後

熊本で水俣病が起こったのに、その9年後に同じ水俣病が別な県で起こるなんて・・・
公害病は甘く見てはいけない、その地域だけの問題ではないということが分かった問題でもありますね。

昭和電工鹿瀬工場は、アセトアルデヒドという化学物質をつくる工程の中でメチル水銀が作られ、メチル水銀(有機水銀)が処理されないまま、排水といっしょに阿賀野川に流されていました。

そのメチル水銀を含む排水を、プランクトン→水生昆虫→それをエサにする魚→その汚染された魚を人間が食べるという食物連鎖(しょくもつれんさ)によって、食べた人々が水俣病になったというわけです。

第二水俣病は、何川流域で発生しましたか?

  • 阿賀野川
  • 熊代川
  • 信濃川

正解!

不正解...

正解は阿賀野川です。

新潟県の阿賀野川流域で発生しました。

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まとめ

ポイントをまとめると・・・

水俣病

  • 場所:熊本県の水俣市
  • 原因:メチル水銀(有機水銀)による水質汚染

イタイイタイ病

  • 場所:岐阜県の神岡鉱山から神通川によって富山県に流れ
  • 原因:カドミウム

四日市ぜんそく

  • 場所:三重県の四日市
  • 原因:石油コンビナートの二酸化硫黄(亜硫酸ガス)

第二水俣病

  • 場所:新潟県の阿賀野川流域
  • 原因:昭和電工鹿瀬工場排水に含まれていた、メチル水銀

     

    場所や原因、何川流域で発生したかという問題が、よく出題されますので、病名とセットで覚えておきましょう。